日米密約

今日の読売新聞の記事です。

政府は30日の閣議で、沖縄返還時に当時の佐藤栄作首相とニクソン米大統領が交わしたとされる緊急時の核持ち込みをめぐる「合意議事録」について、昨年12月に発見された文書は「佐藤首相とニクソン大統領との間で署名されたものと推察される」とする答弁書を決定した。

 文書は実物だと政府が認定した形だ。

 合意議事録について、外務省の有識者委員会は3月9日の報告書で、密約と認定しなかった。この点については、「委員会としての判断。当時、外務省として何らかの関与または知識があったことを示す文書の存在も確認されず、文書の性格について確定的に述べるのは困難」だとした。

 新党大地鈴木宗男代表の質問主意書に答えた。

喜納議員も3月23日の予算委員会で、この件について質問しています。

少し長いですが、議事録の該当部分を掲載します。

次は、岡田外務大臣にお聞きしたいと思います。
 三月九日に、岡田大臣は、四つの密約問題の調査報告書により、自民党政権が半世紀以上も有権者、国民を欺いてきた密約の実態を予想どおりに明らかにしました。まさに政権交代の大きな成果が出たと言えます。
 そこで、公表した四つの密約のうち、沖縄の核再持込みについては、佐藤元首相とニクソン元大統領の密約文書が日本側の外務省で引継ぎがなかったという理由で必ずしも密約とは言えないと否定されましたが、有識者委員会の判断を岡田大臣は本当に同意しているのか、お答えください。
国務大臣岡田克也君) これは、委員御指摘のように、四つの密約の三つ目、沖縄返還時の交渉において、当時の佐藤総理は核抜き本土並みということを強調されました。しかし、密約として、緊急事態においては核を持込みをすることが可能であるという旨の約束、合意が両首脳間であったというものであります。
 まず、外務省の調査の時点では、十一月の末までなんですが、文書は全く発見できませんでした。したがって、外務省の調査ではこの件について何も述べておりません。有識者の調査をしていく中で、佐藤栄作氏の御遺族から自宅の元首相の机の引き出しに入っていたということで、その文書が出てきたわけであります。ニクソン大統領と佐藤首相の署名の入ったものでございます。
 この文書の性格をどういうふうに解釈するかということで、有識者委員会ではこれは密約ではないという結論を出されました。理由は二つです。一つは、表に出ている佐藤・ニクソン共同声明の内容と大きな違いはないというのが第一の理由であります。しかし、この理由は、日本政府としては必ずしもそれを受けられるものではございません。もし余り違いがないということになりますと、表に出ている佐藤・ニクソン共同声明においても、将来の核の再持込みを示唆していたということになるわけですけれども、政府としてはそうは考えておりません。
 それからもう一つの理由は、これは佐藤総理とニクソン大統領の個人的な約束であって、その後に引き継がれていないという理由であります。これは、確かに日本政府は全く知らないといいますか、引き継いでおりません。外務省も全くそれについて承知をしておりませんでした。個人の家の机の引き出しに入っていたということからも、個人間の約束という見方もできるというふうに思います。しかし、一時期とはいえ、両国の首脳が合意したわけですから、少なくともその両者が権力の座にある間は効力を持ったのではないかという見方も当然できると思います。
 したがって、有識者の意見は密約ではないという意見ですが、それに対して違う意見も当然あり得る。政府としては特にそこを決めておりません。むしろ、各これから学者の皆さん、有識者の皆さんの間で更に議論を重ねていただければいいというふうに思っております。ただ、じゃ、今その効力があるかといえば、それはもちろんないということははっきりしております。
喜納昌吉君 分かりました。まだ政府ははっきりしていないということですよね。
 まず、米国の代表と日本国の代表が取り交わした従来の非核三原則を逸脱した合意文書なんですよ、これはね。引き継がれていることと引き継がれていないことにどういう違いがあるのか、岡田大臣、もうちょっと分かるようにやってくれますか。
国務大臣岡田克也君) 普通、国と国との約束ですと、それぞれの手続というものがあるはずです、例えば閣議決定とか。しかし、そういうものはないんですね。それから、説明も全くない。外務省には全く資料が残っていない。恐らく外務大臣も知らなかったのではないかと推察されるわけでございます。そういうものが果たして国と国の約束として法的拘束力をどこまで持つのかと、こういう議論であります。私は全くないとは言えないとは思いますけれども、しかし、少なくとも佐藤、ニクソン両氏が権力の座から下りた後は、だれも知らなかったわけですから、効力がないという見方も有力だというふうに思っております。